2010年8月アーカイブ

基礎データ

1.面積
約4.3万平方キロメートル(九州とほぼ同じ)
(除フェロー諸島及びグリーンランド)

2.人口
約551万人(2009年デンマーク統計局)

3.首都
コペンハーゲン(コペンハーゲン市の人口約50万人。)(2007年調査)

4.言語
デンマーク語

5.宗教
福音ルーテル派(国教)

6.略史
年月 略史
1397年 マルグレーテ1世の下、北欧三国によるカルマル連合成立(~1523年)
1660年 絶対王政
1849年 憲法発布、二院制議会の設置
1945年 第二次世界大戦終了によりナチス・ドイツの占領から解放
1949年 NATO加盟
1953年 憲法改正、一院制議会へ
1973年 EC加盟
1992年 国民投票でマーストリヒト条約批准を否決
1993年 再国民投票でマーストリヒト条約批准を可決
2000年 国民投票でユーロ参加を否決

政治体制・内政
1.政体
立憲君主制

2.元首
マルグレーテ2世女王(1972年1月即位)

3.議会
一院制(179議席、任期4年)

4.政府
(自由党、保守党による右派・中道連立政権)

(1)首相 ルッケ・ラスムセン(自由党)

(2)外相 ペア・スティー・ムラー(保守党)

5.内政
(1)2001年11月の総選挙で、ラスムセン党首が率いる自由党が外国人移民対策の強化及び社会福祉の見直しを訴え、8年間続いた中道左派連立政権(社会民主党及び急進自由党)を破って第一党となり、保守党との中道右派連立政権が発足した。

(2)同政権は、内政面においては高齢者介護、医療面での選択の自由の強化、増税凍結及び難民・移民の規制強化を着実に実施し成果を上げ、また、外交面においては2002年後半にEU議長国を務め、EU拡大交渉を成功裡にまとめたことなどもあり、安定した政権運営を行ってきた。

(3)2005年2月、ラスムセン首相は議会を解散して総選挙を実施し、与党自由党・保守党(179議席中72議席)が選挙に勝利するとともに第二次ラスムセン内閣を発足させた。ラスムセン政権は、主にデンマーク国民党(移民規制を訴えている極右政党(24議席))の閣外協力を得て政権を運営。第二次ラスムセン内閣は、内政上の課題であった地方自治体改革(市への権限委譲を柱とする構造改革)、年金制度改革を中心とする福祉制度改革等を実現し、グローバリゼーションの中でデンマークを競争力のある知識社会にすることを目指す等の政策を打ち出し、堅実な政策運営を進めた。

(4)2007年11月、ラスムセン首相は議会を解散して総選挙を実施。与野党とも過半数割れとなったが、ラスムセン首相は、引き続き自由・保守党連立(179議席中64議席)からなる第三次ラスムセン内閣を発足させた。第三次ラスムセン内閣は、政策基本文書の中で、増税凍結政策の推進、政府開発援助の対GNP比の増加の他、対EU協力に付している4つの留保事項(共通通貨、安全保障・防衛、司法・内務協力、EU市民権)の見直しの必要性に関する認識等につき表明している。

(5)4月4日、ラスムセン前首相が次期NATO事務総長に指名されたことを受け、5月、同政権のルッケ・ラスムセン財務大臣が新首相に就任した。

外交・国防
1.外交基本方針
 デンマークはEUの活動を重視しており、1973年には他の北欧諸国に先駆けて欧州共同体(EC)の加盟国となった。また開発援助、PKO活動、人道支援等国際貢献を積極的に推進している。

 デンマーク政府は、欧州協力、環大西洋協力(米・NATO協力)、グローバル協力を外交政策の基本とし、国際平和協力重視の防衛政策の下、イラクやアフガニスタン等の国際的諸問題に多角的なアプローチで積極的に取り組んでいる。

(1)EU

 2002年後半にEU議長国を務め、EU拡大交渉を成功裡に終わらせた(2004年5月、25ヵ国に拡大)。ただし、以下のとおり、国民の多数が、欧州統合の進展への対応に慎重な姿勢を示している。

(イ)1992年6月に実施された国民投票でマーストリヒト条約批准を否決した(賛成49.3%、反対50.7%)。背景には、主権喪失への危惧、福祉水準の低下や、官僚主導の欧州統合推進論議に対する根強い懸念等があったと見られている。

(ロ)これを受け、政府はEU加盟国との間でデンマークに関する特別措置の交渉を行い、1992年12月、エジンバラ合意(共通通貨、防衛協力、司法・内務協力、EU市民権の4分野での留保)が成立。同合意を受けて1993年5月に実施された再国民投票では、マーストリヒト条約批准が承認された(賛成56.7%、反対43.3%)。

(ハ)2000年9月に実施された国民投票でユーロ参加を否決した。

(ニ)現政権は、デンマークの4分野での留保によりEU内での影響力が制限されているとして、然るべきタイミングで留保撤廃のための国民投票を行う方針。

(ホ)欧州憲法条約批准に関し、当初、2005年9月27日に国民投票を行う予定であったが、仏、オランダでの国民投票否決の結果を受け、同年6月17日、ラスムセン首相は国民投票実施を無期延期する決定を行った。

(へ)2008年4月24日、これまでの欧州憲法条約の改正条約であるリスボン条約が、デンマーク国会により批准された。

(2)国連

 国連の役割を重視し、PKO活動、開発援助及び人権分野で積極的に活動を行ってきている。2005-2006年の安保理非常任理事国として、アフリカ紛争予防・解決に積極的に取り組む方針を示した。

(3)国際平和協力

 1948年以来、デンマークは国際平和協力の一環として、世界の紛争地域等に延べ5万人以上を派遣しており、現在は、アフガニスタン、バルカン地域を始めとし1,188名派遣している(2008年4月現在)。国連PKO活動へは、レバノン、イラク、スーダン、中東地域等に現在136名派遣している。
 また、ソマリア沖海賊取り締まりのため軍艦一隻(フリーゲート艦)を派遣していたが、本年3月末に任務を終了した。

(4)難民支援

 人道主義の観点から、長年にわたって毎年数千人の難民を受け入れてきていたが、現政権の下で難民・移民の厳しい規制強化を行った結果、デンマークへの難民申請者数は2001年で12,512人であったが、2008年には2,360人にまで減少している。
(UNHCR発表)

(5)NATO

 中立政策にもかかわらず独立を維持できなかった第2次大戦の経験(1940~45年ナチス・ドイツ軍が占領)から1949年NATOに加盟した(原加盟国)。その後も政府及び国民の多数がNATO加盟を支持している。

(6)北欧

 北欧理事会等の協議の場を通じ、アイスランド、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの北欧5ヵ国間で、政治、経済、環境、紛争予防・解決等の分野で協力している。

(7)イラク

 一貫して米国支持の姿勢を明確にし、英、豪とともに米国主導の対イラク軍事行動に参加したほか、イラク南部に約460名の安定化部隊を派遣し、治安維持、地雷処理等を実施するなど復興・人道支援にも積極的に貢献してきたが、2007年7月一杯で撤退した。

(8)アフガニスタン

国際治安支援部隊(ISAF)に約550名を派兵(2008年5月現在)。ファイザバード、チャグチャラン、ラシュカルガ等でPRTに参加。デンマークのアフガニスタン支援の重点分野は人権・民主化、行政改革、教育、地方の生活改善、難民・国内避難民支援、人道支援。日本が主導しているDIAG(非合法武装集団の解体)のドナー国でもある。

(9)預言者ムハンマドのイラスト掲載問題

 2005年9月にデンマークの新聞が預言者ムハンマドのイラストを掲載したことに端を発し、2005年から2006年初にかけイスラム教諸国においてデンマーク製品のボイコット、デンマーク大使館・領事館への放火やデモ行動に発展した。デンマーク政府は事態の鎮静化のために表現の自由を前提としつつ、対話の重要性、宗教・民族的背景を超えた個人の権利尊重の重要性を指摘し、要人がイスラム諸国との対話の機会を持つなどの対応を行った。

2.軍事力
(1)国防費 224億クローネ(2007年度予算)

(2)兵力 陸軍14,240人、海軍3,498人、空軍3,572人、統合参謀8,240名(出典:ミリタリーバランス2009)

(3)徴兵制 18歳以上の男子に徴兵義務。男女ともに志願可能。通常4ヶ月(但し近衛兵は8ヶ月、騎兵隊は12ヶ月、王室船は9ヶ月。)

3.デンマークによる対外援助実施状況
ODA供与実績の対GNI比0.81%(DAC加盟国中4位)(2007年OECD統計)

経済
1.主要産業
農業、畜産業、化学工業、加工業

2.GNI
2,998億ドル(2008年、世銀統計)

3.一人当たりGNI
54,910ドル(2008年、世銀統計)

4.経済成長率
1.8%(2008年、世銀統計)

5.物価上昇率
0.6%(2008年、世銀統計)

6.失業率
2.3%(2009年1月、デンマーク統計局)

7.総貿易額
(1)輸出 1,035億ドル(2007年、WTO統計)

(2)輸入 996億ドル(2007年、WTO統計)

8.主要貿易品
(1)輸出 機械、肉・酪農製品、医薬品等

(2)輸入 機械、乗用車、鉄鋼等

9.主要貿易相手国(2007年)
(1)輸出 EU、米国、ノルウェー、ロシア、日本、中国

(2)輸入 EU、中国、ノルウェー、米国、ロシア、日本

10.通貨
デンマーク・クローネ

11.為替レート
1クローネ=15.86円(2009年2月)

12.経済概況
(1)近年の経済情勢

 デンマーク経済は、1990年代前半より着手された財政再建と労働市場改革に支えられ、概ね順調な成長を続けてきている。2001年に内需過熱を沈静化するための財政措置と世界経済全体の減速を受けて2002、2003年と景気が低迷したが、2004年以降、公共事業の前倒しと減免税措置により年率2~3%台の成長があり、ここ数年では、低金利の下で不動産市場の活況、民間消費の拡大、堅調な輸出の伸びがみられる。しかしながら、好景気を享受していたデンマーク経済は近年の労働力逼迫を主要因として、2007年の成長率は1.8%にとどまり、景気の山を超えたとの見方が強い。

(2)低失業率

 失業率は、2006年に4%台前半まで改善し、2008年4月に1.7%まで低下した。歴史的な低水準の失業率では逆に建設業等における労働力不足、賃金上昇圧力に伴うインフレが懸念される。

(3)財政状況

 デンマーク財政は、2008年に対GDP比4.1%の黒字を見込み、累積債務は対GDP比26%まで減少すると見込まれている(2008年政府見通し)。

(4)ユーロ参加問題

 2000年9月の国民投票において、反対53.1%、賛成46.9%でユーロ参加が否決され、現在、デンマークはユーロ不参加である。ただし、ERMII参加国として、自国通貨の対ユーロ変動幅を中心交換レートから上下2.25%内の変動に維持する政策をとっており、事実上、ユーロとの固定相場制を有している。

二国間関係
1.政治関係
(1)1867年の江戸幕府による修好通商航海条約締結に始まり、海運、貿易活動等を通じて友好関係が発展、維持されている。

(2)欧州最古と言われるデンマーク王室と日本の皇室は親密な関係を維持している。1998年5~6月に天皇皇后両陛下がデンマークを公式訪問されたほか、2004年5月には皇太子殿下が同国で行われたフレデリック皇太子殿下の結婚式に出席された。同年11月には、マルグレーテ二世女王陛下及びヘンリック王配殿下が日本を御訪問された(国賓としては二度目)。また、2005年4月20日の愛・地球博デンマーク・ナショナルデーに合わせ、フレデリック皇太子殿下及びメアリー妃殿下が訪日された。なお、日本デンマーク協会の名誉総裁は常陸宮殿下が務められている。

(3)近年の要人往来・会談では、2002年7月には「日・EU定期首脳協議」のため来日したラスムセン首相が小泉総理と二国間首脳会談を行い、同年9月には小泉総理がASEM第4回首脳会合出席のためデンマークを訪問した。2004年11月にマルグレーテ2世女王陛下の首席随員として訪日したムラー外相が町村外務大臣と会談した。2005年11月には伊藤大臣政務官がデンマークを訪問し要人と会談した他、同年12月WTO閣僚会議(香港)の際に麻生外務大臣とムラー外相の間で意見交換を行った。2006年11月には、ラスムセン首相は2回目の訪日をし、日・デンマーク首脳会談を行った。また、2009年1月、スイスのダボス会議の機会に、同会議に出席した麻生総理大臣とラスムセン首相との間で首脳会談が行われた。

2.経済関係
(1)貿易

 日本は、デンマークにとってEU域外ではノルウェー、米国、中国、ロシアに次ぐ5番目の貿易相手国として重要な輸出先である。貿易収支は、1987年以来、日本の大幅な輸入超過となっているが、貿易品目構造が相互補完的(日本から:自動車、OA機器等。デンマークから:加工用冷凍豚肉、医薬品等)であり、良好な貿易関係を維持している。対日輸出の多くは食品関係が占めており、中でも豚肉は最大の対日輸出産品となっている。

(イ)対デンマーク貿易額(単位:億円)(財務省貿易統計)
貿易収支 年月 日本からデンマーク デンマークから日本 収支
2003年 766億円 2,755億円 -1,988
2004年 885億円 3,021億円 -2,136
2005年 958億円 2,616億円 -1,658
2006年 1,030億円 2,367億円 -1,337
2007年 902億円 2,382億円 -1,480
2008年 759億円 2,530億円 -1,771

(ロ)対デンマーク主要品目(財務省通関統計)
輸出 乗用車、ビデオカメラ等、貨物自動車、医療用機器等
輸入 豚肉、医薬品、抗生物質、風力式発電機、チーズ類等
(2)日本の対デンマーク直接投資

 投資先としてのデンマークは、労働者の質は高いが、人件費が高く、市場規模が小さい等の理由から製造業の進出は低調。デンマークに進出している日系企業は89社(2009年1月)。日本メーカーの販売会社が多い。 2007年の日本の対デンマーク直接投資額は約46億円(ネットフロー。出典:デンマーク中央銀行)主に、日本製品の流通・販売サービスとして、家電製品、自動車、光学機器メーカー等の進出が中心。

(3)デンマークの対日直接投資

 日本に進出しているデンマーク企業は33社(2007年。出典:東洋経済新報社「外資系企業総覧」)。ノボ・ノルディスク(洗剤、化学品、医薬品)、レゴ(玩具)、マースクライン(海運)、ロイヤル・コペンハーゲン(陶器)等がある。

 デンマークの対日直接投資額は、2007年で約180億円(ネットフロー。デンマーク中央銀行)。主に、化学品・医薬品、玩具、海運等が中心。

3.文化関係
 2007年には、デンマーク出身のクヌッセン機関長没後50周年にあたり、デンマーク国内で各種文化事業が実施された。

注:クヌッセン機関長とは和歌山県沖で、日本人を助けようとし嵐の中の海にとび込み自らの命を落としたデンマーク人。

4.在留邦人数
1,227名(2008年12月)

5.在日当該国人数
557名(2007年12月現在)

6.要人往来
(1)往(1998年以降)  年月 要人名
1998年 天皇皇后両陛下(公式)
2000年 丹羽厚相
2002年 塩川財相(第4回ASEM財相会合)
小泉総理(第4回ASEM首脳会合)
2003年 小池環境相
2004年 皇太子殿下(フレデリック皇太子殿下結婚式)
(2)来(1998年以降)  年月 要人名
1998年 ベネディクテ王女・ナタリー王女、ルンゴー文化相、
ピーターセン外相
1999年 イエスパーセン社会相
2000年 ビヤゴー農相、アナセン住宅相、ブクスティ交通相、
リュケトフト蔵相、ピーターセン外相
2001年 ハンセン国会議長(公式)、エリーサベット王女、
フェアゴ教会相
2002年 ミケルセン文化相、ラスムセン首相
2003年 シュミット環境大臣、ホーダー難民・移民統合相
2004年 マルグレーテ2世女王陛下(国賓)、ヘンリック王配殿下(国賓)、ムラー外相
2005年 フレデリック皇太子同妃両殿下(博覧会賓客)、ベンセン副首相兼経済産業大臣
2006年 ラスムセン首相
2008年 ヘデゴー気候・エネルギー大臣

7.二国間条約・取極
1867年 修好通商航海条約

1912年 通商航海条約

1936年 司法共助取極

1953年 航空協定

1956年 査証免除取極

1968年 租税条約

2007年 ワーキングホリデー制度導入

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